要介護認定調査結果の不満

ケアマネの知恵袋

認定調査の結果に不服がある時はどうすればよいでしょう?

「介護保険審査会」に不服の申し立て(再審請求)を行います。または、区分変更を行います。

この記事では、認定調査の結果が受け入れられない時にどうすればよいか、また失敗のない認定調査を受けるための方法をご提案してみたいと思います。

不服申し立てと区分変更の違い

では、再審請求と区分変更とは何が違うのでしょうか。

まず、再審査請求であるいわゆる不服申し立ては、30日余りをかけて行う認定調査の一連の作業が終了したとたんに再度それをやり直すもので、わかりやすく言うと「結果が納得いかなかったから、ただちにやりなおせー!」というもの。認定調査への異議申し立ての意味があります。

一方区分変更はと言うと、認定の結果からしばらく経過したところで、状態変化があり既に認定時の心身状態ではなくなっているため「要介護区分の変更をしたいので、有効期限内ではあるがもう一度見直してほしい」というもの。

全くニュアンスが違いますね。

なぜ認定調査に不満が出るのか

介護認定に不満が出る理由は何でしょうか?

多様な要因の中で、主には調査員と被介護者側の間で認識のずれが生じることが大きな原因です。
とくに、被介護者の日頃の状態をつかめていないご家族側から不満が出ることが多くあります。

調査時には、専門の調査員が被介護者の状況を聞き取り、調査を行います。
その際に、本人からうまく状況を聞き出せない場合、認知症のある方はご家族の意見が重要となるのですが、そのご家族が被介護者の状況を正確につかんでおらず、思い込みで伝えた場合などには適正な調査結果が得られません。

時々訪問するだけのご家族は、まだまだしっかりしていると思っていた親が、実は認知症が進んでおり専門職の中で問題になっている、などのケースです。

また、調査時はどうしても被介護者にとっては緊張の場面で、なかなか思うように状態が伝えられていない可能性もあります。
その結果、受け答えやコミュニケーション不足による認識のずれが生じてしまい、認定結果の不満を招いてしまうことが多いようです。

認定調査前に準備すること

認定調査前には以下の内容をもう一度整理しておきましょう。

  • 調査の目的をよく確認し理解する(病状ではなく日常でできないことや困っていることを伝える)
  • 状況を把握している家族が立ち会う
  • 日頃から日常に困っていることや気になっていることをメモしておく
  • 初対面の調査員にはわからないことを伝える(時々起こる発作やくせ、異変など)
  • 体裁を気にせずありのまま現在の状況を伝える(調査員は別場所で家族に聞き取りをしてくれるが、それをしない人には要求して伝えたほうが良い)
  • 日頃から主治医とコミュニケーションをとっておく(診察室の様子だけでは状況把握ができないので、通院同行などの際に医師に正しい状態を伝えておく)

上記のことに留意の上で調査に臨むと、納得できる結果を得ることができるでしょう。
それでも食い違いや、伝えたにもかかわらず反映していない、あまりに想定した認定結果と違うなど不服が生じた場合は、再審査請求にのぞみます。

手続きに必要なものや手順はここでは割愛します。なぜなら担当のケアマネさんが居られるはずなので、その方に依頼すれば速やかに代行してくれるからです。

まとめ

冒頭に記したように「不服申し立て」には穏やかならぬ意味合いを含みます。

以前、要介護度が予定外に高くなってしまい「支払いが増えるから再審して元通りに下げてくれ」と言う方がおられました。

不服申し立てと言うのは、調査結果が出たばかりで差し戻すわけですから、関わった調査員も医師も判定員もプロとして間違っていたことを意味します。
結果が出てから、また初めからの流れを繰り返すわけですから、手続きや書類など多くの時間と手間及び費用がかかります。

この方の場合は、遠距離のご家族で親の認知症の状態を認識されていなかったため、関係機関の説明で現在の親御さんの状況を理解し納得されたというものでした。

認定結果に不満を感じた場合は、できれば感情的にならずいちど受け入れて時間をおく。
しばらく時間が経過した後に「認定を受けた時点からすでに状態が変わったのでもう一度調査をしてほしい」と区分の変更を希望される方が、よほどスマートで誰も傷つけず、また思う結果を手に入れられるでしょう。

いづれにしても、自身の状況や要望を考慮し適切な行動を選ぶことが大切です。不満をかかえた場合には、ケアマネジャーをはじめ地域包括支援や行政の相談窓口に相談することもおすすめです。