老後の三大不安とは

ケアマネの知恵袋

老後を考えるとき、不安を感じない人はいないのではないでしょうか。長い人生も思えば老後へ向かって生きているわけですから、物心共に準備を要するのは必要なことです。3人に1人が高齢者となる25年問題を目前に「老後の備え」が重要だと言われていますが、それでは具体的にどのような準備が必要となるのでしょうか。本記事では老後の3大不安について考えてみたいと思います。

【1】 じぶんが病気になったらどうしよう

老後になると、健康問題が増えると言われます。高齢になると必然的に体の機能が低下し、免疫力が低下することで、病気やケガに対する回復力も落ちてしまいます。そのため自分の健康に自信が持てなくなることで、メンタルも消極的になり活動性が落ちて余計に不健康を招くという悪循環を生むため、健康に関する不安は非常に大きなものとなります。

健康を維持するには、今日出来ていることを明日も継続できることが理想です。
よく「私はまだ早いから」と介護保険サービスを拒否する人がいますが、介護保険は上手に利用するものです。65歳以上の方なら率先して認定調査を受けてください。要支援の結果が出れば、公的な運動施設を安価に利用することが可能になります。一般のジムに通うとなると相当な月会費がかかりますが、個別カウンセリングの上、リハビリの専門職がマンツーマンで対応して食事指導もあり、多種のマシーンを多く備えている介護保険事業所を利用しない手はありません。
外へ出る場所を作り、そこで仲間を作り目的をもって笑顔で毎日を過ごすことです。

【2】 認知症を患って介護が必要になったらどうしよう

仕事を引退し、老後に向かうと社会的なつながりが減ってきます。子供たちは現役世代で忙しく、親をかまってくれる時間はなくなり、活動範囲が狭くなることで友人との交流も減り、孤独感を抱くことが少なくありません。気持ちが内面に向かうとウツ状態を引き起こしたり、認知症状を引き起こしたりします。
積極的に地域のイベントやサークル活動に参加しましょう。「もう、いくつだから」という考え方が自分の行動を制限してしまいます。いくつでも未来はあるのです。パソコンやSNSを活用し、自分の趣味や興味に関するグループに参加し交流するのも、孤独感を軽減し生活に生きがいを与えてくれるでしょう。
認知症を怖がる必要はありません。ひとつの病気にすぎません。どれだけ自分を(家族を)受け入れられるかなのです。個人で戦う必要はないのです。迷わず、ケアマネ事業所にSOSをしてください。
有能なケアマネジャーの下、大勢の専門職たちがただちに集合して、あなたをあなたの家族を支えてくれるでしょう。認知症のことはその過程で学べばよいのです。

【3】 収入が減ってお金がなくなったらどうしよう

老後には、経済的な悩みがつきものですね。仕事を退職したあと、年金だけで十分暮らしていけるという人はどれほどいるでしょうか。生活費や次第に増える医療費、介護費など様々な出費を要するためほとんどの人が不安を抱いて暮らしています。
昔と変わって、定年がどんどん引き上げられています。70歳台で仕事をしている人もめずらしくなくなりました。ただし健康であればこそであり、働くのを辞めたとたんに生活ができなくなるのでは不安が解消されるはずがありません。
身体も元気でいきいき仕事をするのならともかく、生活のために無理を押して働き続けなくてはならないのは、とてもつらいものです。
そのためには若いころから老後に備えて貯蓄を始めることが重要です。投資や保険等に知識を持ち自分に合った方法で将来のために資金を増やすことで不安の軽減につながるでしょう。

ただ、すでに「高齢になっているが手持ちの資金が尽きてきた」という切羽詰まった不安はどうしたらよいのでしょうか。まちがっても目先のギャンブルや金融商品などに手を出してはいけません。
身近な地域包括支援センター、もしくはケアマネ事業所にSOS相談をしてください。生活背景を聞き取りして、その人に応じて、具体的な方法をアドバイスできるでしょう。